お風呂を作るうえで必要なファクターはいくつかあります。
特に材料の選定には非常に神経を使います。
・安全である事
・衛生的である事
・鮮度を高く保てる事
・冷めにくい事
・雰囲気が良い事
・肌の感触が柔らかい事 ・・・etc
などなど、様々な要素をバランス良く整えていかなければ、良い風呂はできないと考えております。
お客様が入浴した後に「良く分からないけど、なんとなく気分が良い」とほめて頂けた場合は合格となります。
宿側のこだわりを声高に伝えるようでは、いたずらにお客様を緊張させるだけです。
さりげない配慮が一番レベルの高いサービスだと思います。
そのような思いをハードに反映させる事は、この工事を通して非常に勉強になりました。
また、最終的には「人」がそのレベルを引き上げていくのだと考えさせられました。
峩々のスタッフが最終的に温泉とお客様を引き合わせなければ、ロマンあふれる旅の提供はできません。
基本的な作業の積み重ねが宿を磨き込んでいくのだと思いました。
ところで、この2人は何をやっているのでしょうか?(写真:2007.4.18)
お風呂の具合をチェックしているわけなのですが・・・。
オープンまで1週間を切ったのですが・・・。
お湯がどこかから漏れている!
斉藤棟梁にそう言われて唖然としてしまいました。
お湯の無い峩々のお風呂。
それはカレーライスのカレー抜きみたいなものです。
私が頭を抱えていると、小さな木片を口にくわえてスノコの下にもぐりました。
後で聞いてみると、木材の隙間にクサビを打ったそうです。
時間が経てば木材は温泉を吸って膨張し、隙間無くぴっちりといくから心配しないように。
優しい山形弁でそう言うと、浴槽に満ちていくそれに目を落としながら満足そうにタバコをふかしていました。
この温泉館を建ててくれた斎藤棟梁(左)と総指揮を取った石川氏(右)。
工事中、彼らに共通点を見つけました。
それは笑顔を絶やさなかった事。
現場のリーダーは笑顔を絶やしてはいけない。
顔がこわばれば、信頼して付いて来てくれる人が心配する。
何よりも自分のモチベーションを高め、楽しく仕事をしなければ笑顔にはなれない。
みんなに自信を持って仕事をして欲しい。
胸を張って、顔を上げて生きていって欲しい。
リーダーはいつも、いつもそう思っています。
人が人を動かし、笑顔をつくる。
この建築工事を通して学んだ事は数え切れません。
本当に、本当に感謝するばかりです。
ありがとうございました。